スロットル開度を規制する意味と吸気抵抗
酒呑童子のエコラン講習
先日は、キャブレターのスロットルバルブの上にカラーを入れてスロットル開度を約半分に規制するのが適当と書きましたが、その理由を説明しておきましょう。
図を見てください、これは下記の書籍からの引用です。
自動車工学−基礎− (追補版) 発行:社団法人自動車技術会 2004年 P8
出力1kW,1時間当たりの燃料消費gが一番小さいゾーンは、最大トルク回転数辺りの最大トルクの70から80%のトルクの辺りにあることがわかります。これは一般的なエンジン特性の代表的一例ですが、スーパーカブエンジンも例外ではありません。
そして、スロットル開度約半分と言うのは、実はこの最小燃料消費率のゾーンを通るのです。
この開度で、最大トルクに必要な空気の90%程度が吸入され、ただ燃料が薄いためにトルクがやや低めになっています。つまり燃費の良いゾーン。ここからスロットルを開けると空気の増加よりも燃料の増加の方が多く、出力の大きい濃い目の混合気となります。燃費は低下します。エコランではこの領域に用は無い。
実際には、これより更に薄めにセッティングすることもあわせて、最大トルク回転数よりも低めの回転数を使うことが、経験的に良い結果を出しています。
この辺りのゾーンを使って一気に加速して、惰行距離を伸ばすのが現在の主流です。
昔々の実車エコランの運転法に影響されて、エコラン初期に言われた「出来るだけ小さいスロットル開度でそっと加速する」や「加速抵抗を小さくするためにできるだけゆっくり加速する」と言う運転方法は完全に否定されます。
一方、吸気損失を小さくするためにスロットルは全開にするというのも実際のエンジンの特性を理解していない考え方です。私に言わせれば、吸気損失も加速損失も幻。
更に言えば、キャブレターの上流に抵抗ボックスを設けてセッティングの一端を担わせるというのは、有効な手段であり、全盛時の京葉工業高校や日工大チームも活用していました。今もやっていると思うけれど、活用できているのかな。