エコランマシンのアライメントとそのチェック

KUSHIBIKI2006-07-03

酒呑童子のエコラン講習

ここでは、一般的な前二輪のマシンの話です。

良く、アライメントはどういう風に設定すればよいでしょうかと聞く人が居ます。さらにはトーインは何度ですかとか、トレイルは、キャスターは、キャンバーは、キングピンアングルはと、やたらに具体的な数値を聞きたがる人が居ますが、どんなマシンにも当てはまる万能の数値なんてものはありません。

フレームや、ステアリング系の剛性等によってどうにも変わりうる数値です。

ではどうすればよいか。先ず、真っすぐ走ることです。少々の外乱が入ってもきちんと収束してふらつかない。しかも適度に曲がる。そして転がり抵抗が小さい。こういう風に出来たら素晴らしいですね。

そのためにはステアリング系に十分の剛性を与えることが必要です。そして製作や調整の誤差にあまり敏感すぎないこと。ハブキャリア(アップライト)の支点間は十分に距離を置くこと。ピットマンアームは十分に長く取ること。

タイロッドは十分に太くしてたわまないようにします。あるいはタイロッドには常に引っ張り荷重が掛かるように設計すること。

農工大チームが発足するときは、某チームのお古マシンをいただいて始めましたが、その部品の中にステアリングダンパーが入っていました。それを取り付ける部分も有る。

何でこんなものが要るのかと仮組みしたところで確認してみると、左右を長い6mm径のタイロッドでつないでいるのですが、それに圧縮荷重が加わるので、タイロッドがたわんでトーインが開いたり閉じたりの振動を始めるのでした。

それではと、タイロッドの中央を針金でフレームにスライドできる程度にくくりつけてみると、振動は止まりました。これで鈴鹿のホームの下りも問題なかったようです。

ステアリング系の剛性を十分に作れば、キャスターやトレイルはまあ一般的な数値で問題はないでしょう。ホイルオフセットはタイロッドに引っ張り荷重が掛かるように設定します。あとは、リンクは基本的にアッカーマンの基本に従うのが良いでしょう。時々アッカーマンリンクが逆転している例を見ます。

最後に問題になるのはトーイン/アウトの設定でしょう。普通はこれが調整できるように作るので、一層の悩みの種。

私がお奨めしているのは、廊下や体育館の床などで、ゴム底靴で歩くとキュッキュッと鳴る様な表面の上を走らせて見ること。もしきれいに転がらずに横滑りしているようなら、キュッキュキュとか、ズリズリとかの音がします。その音が最も小さくなるようにアライメントを調整します。旋回しても音がしないようなら上出来です。

そういう路面がないときは、新聞紙を敷いてそれを全体に湿らせた上を同じように走らせます。濡れた新聞紙がよれなければOKです。以前、濡らした新聞紙を敷いて、と説明したら、濡らした新聞紙は持ち上げられないので敷けませんと苦情が来たので、新聞紙は、敷いてから濡らすこと、と説明を変えました。

お試しあれ。ご活躍を。

写真は今年の秋田WEMにて。